注文住宅でペットと暮らすために必要な家づくりのポイントについてまとめました。家づくりの参考にしてください。
人とペットが暮らす住宅では、ペットも大切な住人の一員として設計することが重要です。人とペット、どちらも快適に過ごせる家というのは、お互いの距離感を適度に取りつつ、行動範囲や温度、湿度のバランスを取ることがポイントになります。
犬や猫の室内飼いが増えてきたことによって、家の中でも思いがけない事故になることが増加の傾向にあります。とくに、近年は飼い主や家族が日中は仕事や学校で誰も居ないことが多く、長い時間ペットを室内に留守番させることが一般的になっています。
このとき注意したいのがペットだけで留守番している間の事故です。留守番させるときはペットゲートを設置するなどしましょう。ペットが立ち入ると危険なキッチンやお風呂などの水回りへ入れないように制限することで留守番中の事故を防ぐことができます。
室内でペットを飼っていれば安全というイメージがありますが、意外にも事故の危険性はあちこちに潜んでいます。
キッチンには犬や猫にとっても有害な食材であるネギがなどが置いてあることがあります。ペットはとりあえずなんでも食べてしまうので、誤飲による事故が一番多いようです。それ以外にも包丁やガスコンロなどペットのリスクになるものがキッチンにはたくさんあります。
脱衣所の洗濯機や浴室も事故のリスクが高い場所です。洗濯洗剤やシャンプーを誤って舐めてしまったり、水が貼ってある浴槽に滑って落ちしてしまって溺れたりする可能性があります。
最近の住宅は全面フローリングの家も少なくありませんが、フローリングは犬や猫にとって決して移動しやすい床ではありません。勢い良く走っている場合には滑って怪我をする可能性があります。
屋外にも危険は潜んでいます。ベランダやバルコニーにペットが出て遊んでしまうと転落の恐れがあります。とくに、小型犬や猫は手すりの隙間からでも外に出てしまうので非常に危険です。
家の中で行動を制限されているペットは虎視眈々と家の外に出るタイミングを伺っています。特に猫は、人が出入りするタイミングを見計らって後ろから静かに忍び寄って出ていってしまうことがあります。そのまま道路に出てしまうと車に轢かれてしまうという事故も多いです。
キッチンや浴室にはゲートを設置する、フローリングはカーペットを敷く、玄関ホールには扉を設置してペットが玄関に近づけないようにするなど、危険なエリアにはペットが立ち入れないように行動を制限する工夫をするようにしましょう。
人間とペットが快適に過ごすことができる室内温度は夏は25度、冬は22度と言われています。犬や猫は人間と違って汗をかいて体温調整することが苦手です。犬や猫が汗をかけるのは足の裏の肉球からだけで、基本はパディングと呼ばれる呼吸によって体温調節をしています。そのため、人間にとってちょっと暑いと感じる気温でも犬や猫にとっては大変です。
また、湿度も大切です。湿度は50%~60%が最適とされています。パディングは口の中の気化熱で体温を下げますが、湿度が高いといくらパディングしても気化しないので大変なのです。そこで、空調は犬や猫が活動する床上50cmあたりの空気が流れるようにしてあげる必要があります。
ペットのトイレ場は匂いも気になるもの。猫と犬は排泄スペースに対する習慣も異なるのでそれぞれ適切な場所に設置して上げる必要があります。
猫は排泄物を隠す習性があり、落ち着いてトイレができるようにしてあげる必要があります。トイレ場は人目のつきにくい場所に設置しましょう。また、周辺の壁の素材は調湿効果、防臭効果のある素材を選ぶと効果的です。
犬は電柱などにもおしっこをかけるように、壁にもトイレシートを貼り付けた専用のスペースを作ってあげましょう。人との動線が交わらない場所に設置してあげれば、不快に感じることもなくなります。また、周辺には脱臭機能を持つ素材や装置を設置すれば匂いも気になりません。
猫や犬は外を眺めながらくつろぐことがあります。小窓を作ったり、窓枠に奥行きを作って乗ることができるようにしてあげると、日向ぼっこをする憩いの場になります。
室内でペットを飼うのであれば、動線を意識した作りにしてあげることが大切です。一定距離を走り回れるように設計してあげれば、運動不足やストレス解消になります。猫の場合は高い場所に上る習性もあるのでキャットウォークも作ってあげると良いでしょう。
部屋から部屋に移動できるように壁にペット専用のくぐり戸を設置すれば、自由に家の中を行き来することができるようになります。ただし、上で説明したように危険なエリアには入れないように制限しておくことを忘れないようにしましょう。