住宅には平屋タイプと二階建てタイプがあります。それぞれには特徴があり、暮らし方によって選択することが大切です。特徴を見ていきましょう。
平屋とは、1階建てで階段を持たない住居を指します。間取りは横に拡がっており、家全体の空気感を感じながら暮らすことができる間取りと言えます。
住宅面積を横に長くする住宅形態のため、住宅建設時にはある程度土地が必要となります。広い土地を確保できるエリアにお住まいの方は、ぜひ検討したい住宅の形です。
平屋タイプの場合、階層がないため1階建てで平面の家となります。階段がないため、間取りや内装、外観が比較的シンプルな風貌となり、落ち着きを持った家造りが可能です。また平屋タイプの場合、階層が上下階に拡がらないため構造自体も安定します。地震などの自然災害に備えるという観点に立てば、とても安定した構造の家を実現することが可能となるでしょう。
全ての住居が同じ階に造られるため、家族の空気感を感じやすい家造りを実現することができるでしょう。家の真ん中にリビングを造るなどの工夫を加えれば、家族のコミュニケーションが自然と発生する家にすることも可能です。誰が起きているか、眠っているかといったことが分かりやすいだけでなく、水回りもある程度集約された設計となります。必ず誰かと顔を合わせながら暮らしていく家にできるでしょう。
平屋は1階部分のフロアのみのため、段差のないバリアフリーの住宅に向いています。時間の経過による家族構成の変化・セカンドライフを住む住宅として、または子どもや高齢者のいる家族が住む住宅としてもバリアフリーに向いている平屋は転倒などの危険がないので安心できます。
平屋は住宅が1階部分のみとなっているので、家事に使う水回りや生活の設備も1階部分に集めることができます。そのため、生活導線・家事導線をコンパクトにまとめることができます。
平屋は2階部分がないので1階部分の面積が住宅の広さに直結してきます。そのため、二階建ての住宅よりも広い土地が必要となります。傾向として平屋は、二階建て住宅の2倍の土地が必要といわれています。
平屋は、二階建てに比べて屋根や基礎の面積が広くなっています。建築費用の中でも値段が高くなりやすい屋根や基礎部分の面積が広くなってしまい、二階建て住宅よりも2~3倍の費用が掛かってしまいやすい傾向があります。
平屋では、住宅内に日の光を採り入れにくい構造となっています。そのため、平屋を建てる際には屋根や住宅の設計を工夫して、住宅の日当たりをどのように確保するかを考える必要があります。
平屋では、良い意味でも悪い意味でも同じフロアに部屋があります。そのため、隣同士の部屋には音や気配が伝わりやすくなってしまいます。また、風呂や寝室もすべて1階にまとめることになるので住宅の外への影響・近隣からの視線なども気になってしまいがちです。
二階建てタイプの場合、階段を用いて階層が分かれるため、家族のプライバシーを保ちながら心地良い空間を実現することが可能です。二世帯住宅など、世帯を分けて暮らす場合にも最適なタイプです。玄関を分けることも可能なため、完全に空間を分断することも可能です。
二階建てタイプの場合、上下に居住スペースを造るため土地自体が狭くても問題ありません。階層を設けて上下に居住スペースを造ることができれば、限られた土地を有効活用しながら、家造りを行うことが可能です。特に都心部など、土地代が高かったり、敷地面積が限られる場合には二階建てタイプを検討するのがオススメです。
二階建て住宅の場合には生活音を分断することができるため、プライバシーに配慮することが可能です。精神的安全性を考慮しても、同じ階でないだけでプライバシーを確保されているような認識となる方もいらっしゃるのではないでしょうか。個室の用意をしやすいという観点からも、家族全員のプライバシーに配慮しやすい空間と言えるでしょう。
二階建ての場合は、2階部分があるので狭い敷地であっても住宅スペースを確保できます。また、現在の日本の住宅は二階建てが主流のため、資材も二階建て用のものが多く仕入れて準備されているので費用が安くなりやすい傾向があります。
二階建て住宅は1階のフロアと2階のフロアに分かれているので各階にトイレやお風呂などを設置して住み分けもできます。それぞれのプライベートを守りながらより快適な同居生活を送ることができます。
二階建て住宅では、1階部分と2階部分に分かれているので家事や生活の導線が複雑になりやすくなっています。1階で洗濯して2階で洗濯物を干したり、2階で食事した後に1階に食器を片づけたりといったことが起きやすくなっています。スムーズに移動できるように導線を確保しておく必要があります。
二階建ての場合、家族一人ひとりのプライベートな時間をしっかりと取れる構造となっています。しかし、それと同時に間取りによっては家族同士のコミュニケーションをとる機会を減らしてしまうことにもつながってしまいます。
特に玄関から直接2階に行ける間取りにしてしまうと、子どもが部屋にこもった場合にコミュニケーションがとりにくくなってしまいます。家族同士のコミュニケーションの機会が生まれるような間取りの工夫が大切です。
延べ床面積が同じ場合、2階部分の面積も入るので土地が狭くても建てられる二階建ての方が安く建てられることが多いです。しかし、土地の坪数が同じ場合は2階部分までの外壁必要となるため、二階建てだと費用が掛かってしまいます。また、メンテナンスが必要になったときには、二階建ての方が足場を組んで行うため費用が高くなりがちです。
平屋タイプと二階建てタイプ、それぞれには異なる魅力があります。家族全員が暮らしやすい家にするためには、好みや使い勝手を判断することはもちろん、平屋タイプ、二階建てタイプそれぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、希望に近いタイプを選択するようにしましょう。