京都は趣ある町並みや歴史ある建造物が魅力の人気が高い地域です。お店も豊富にあるため、生活必需品やファッションなどのショッピングにも適しているため、「住んでみたい都道府県ランキング」でも上位の常連です。
しかし、住んでみたいランキングの順位も高いですが、京都は地価の高さも上位。「住宅地の都道府県別価格指数」では、千葉や愛知を抑えて全国5位。注文住宅を建てようなんて夢のまた夢のように感じてしまうでしょう。
そんな京都に注文住宅を建てる方法があります。それはローコスト住宅という選択です。ローコスト住宅とは、その名の通り低価格で建てる注文住宅のこと。安いものだと1,000万円台で注文住宅を建てられるのですから驚きです。
この記事では、ローコスト住宅が実現できる理由や予算別の間取り・デザイン例をご紹介します。
予算はないけど早く家を持ちたい、教育費や趣味にお金をかけたい、ローコスト住宅は、そんなコスト重視の方向けに提供される低価格の注文住宅です。
その誕生は2000年代。「坪単価25万円~」といった価格設定のローコスト住宅は、リーマンショック以降、注文住宅を建築したい層を中心に大きな話題となりました。
現在は坪価格ではなく「総額で1,500万円」といった形で紹介されていますが、当時と大体変わらない価格帯での販売になっています。
低価格の住宅だからといって、低品質ではないところがローコスト住宅のメリット。というのも、低価格が実現できた大きな理由が品質を下げたことではなく、流通や製造技術が発展したことによるものだからです。
とりわけ、木材の製造技術の向上はローコスト実現の大きな鍵でした。ローコスト住宅で使用される木材は、「プレカット材」と呼ばれるもの。
プレカット材とは、設計図に合わせて加工された木材のことで、工場で機械的に木材を加工するため精度が高く加工コストが削減されるのが特徴です。
プレカット材を導入した結果、現場で職人が加工する必要がなくなり、人件費や施工期間が大幅に節減できるため、ローコストが実現できたのです。
ローコスト住宅のデメリットは、シンプルなデザインの住宅しか選べないという点です。住宅の建築費は家の形に大きく左右されます。そのため、ローコストに収めるためには凹凸の少ない長方形や正方形のシンプルな家しか選択の余地がありません。
また、外壁や屋根材は価格が高いため、使えば使うほど建築費はかさんでいきます。同じ床面積でも建物の表面積が多くなり、材料費も足場代も高くなってしまうのです。
ローコスト住宅ではどのような間取りが実現できるのでしょうか。ここではローコスト住宅の間取り例を予算ごとに2つご紹介します。
1000万円台前半という超ローコスト住宅です。地価の高い京都で実現するとなると、もう少し掛かるかもしれませんが、うまくいけば2,000万円未満で購入できるかもしれません。
2LDK、約30坪、2階建てのシンプルなボックスハウス。1階は廊下のないオープンでモダンな間取り。玄関を入るとすぐにLDKが待っており、2階への階段はリビングに取り付けることになります。
その理由は、廊下を作ると間仕切りの壁が必要になるため、コストがかかるから。
しかし、子供部屋がある2階に行くのに必ずリビングを通ることになるため、家族の会話やふれあいができるというメリットもあります。1階と2階の壁の位置を揃えると、材料加工費も節減できるでしょう。
こちらも1,000~1,500万同様、2LDK約30坪2階建てのボックスハウス。1階はLDKメインの間取りですが、簡単な廊下や階段も作れるでしょう。また2階にもトイレを作るだけの予算的な余裕が生まれます。
2,000万円程度の予算のローコスト住宅では、何にお金をかけて何を節約するのかを取捨選択して、メリハリのある個性的な住宅を建てることが可能。
細かい希望をかなえることもできるため、ストレスなく設計してもらえます。
ローコスト住宅は、材料の製造技術や流通の発展により、高品質を維持しながら低コストを実現した住宅をいいます。予算を捻出できない若い世代や、京都のような地価の高い地域に住宅を持ちたい方にとってはありがたいシステムの住宅でしょう。
その性質上、どうしてもシンプルな作りになりがちなローコスト住宅ですが、設計やプランニング次第では予算を抑えながらも個性的な住宅を実現も可能。
建築士の方による合理的かつ機能的なプランニングにかかってくるため、注文住宅を建てる際は自身の希望をできるだけ詳細に相談するようにしましょう。
こちらの住宅は、1,400万円で実現したローコスト住宅で、真四角のキューブ型となった外観が印象的です。
コロンとしたその形はおしゃれでモダンな雰囲気を漂わせていますが、街の景観を損なうことがなく、どのような街並みにもマッチするシンプルさを持っているため、京都のように住宅の外観に制限がある土地でも建築可能でしょう。
四連の小窓を取りいれるなど窓の配置に工夫しているため、外側から見たときのアクセントとしても機能し、シンプルながらも個性を感じる仕上がりになっています。もちろん、四連の窓は、住宅内に明るさを取り込むためにも十分な機能を果たします。
住宅内は開放的な間取りになっており、階段付近に設けられたリビングからの吹き抜けで、室内をより広く見せています。
このリビングは、住宅を建てる上で最もこだわって造られた部分。将来的に家族構成やライフスタイルが変わった場合でも、リフォームなどで変化させられるような、柔軟性を持たせるという意味合いもあるそうです。
敷地面積 | 148.73平方メートル | 間取り | 4LDK |
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延べ床面積 | 97.71平方メートル | 金額 | 1,400万円 |
こちらの注文住宅は、「リビングから他の部屋にすべて繋がること」「玄関から上にあがる動線であること」「二人で使えるキッチン」という3点にこだわって建てられた注文住宅です。間取りは2LDKと小さいですが、総工費も1,500万円とかなり抑えられています。
上記の3点をすべて実現しているため、らせん状になっていて内部の形としてはかなり個性的ですが、「上にあがる動線」によって縦方向に広がりがあり、延べ床面積82平方メートルでも広さを感じさせる住空間に仕上がっています。
住宅内では、ほとんどの場所でナチュラルな木のぬくもりを感じられるようになっていて、自然豊かな京都の街並みにもピッタリでしょう。また、天井部分など高い位置に窓を設けているので、外からの人目を気にすることなく、太陽光を思う存分取り込めるという点も魅力的です。
もう一つのこだわりである「二人で使えるキッチン」部分は、幅が3メートルを超える大きな空間になっているので、好みに合わせて様々な使い方ができるようになっています。
敷地面積 | 67.4平方メートル | 間取り | 2LDK |
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延べ床面積 | 81.7平方メートル | 金額 | 1,500万円 |
こちらの注文住宅は、木造住宅でありながら総工費の目安が970万円と、1,000万円を切っています。
この住宅を建てるために最もこだわった点は、「無駄を省いてコストを低くする」ということです。施主の希望では1,000万円で建てたいということだったので、それを実現させるために、徹底的にコストをカットしています。
コストカットの方法としては、新建材を避けて木材と漆喰で住宅を作ること、シンプルな形にすること、間仕切り壁はなるべく少なくすること、経済的な寸法で木材を使用することなどが挙げられ「合理的な住宅」と言えるでしょう。
木材の中でも価格が安い「焼杉」という木材を外観に用いているため、外側は落ち着いた雰囲気のダークブラウンとなっています。木材をメインにした住宅であるため、京都の景観を邪魔することもなく、まるで今までにも存在していたかのように自然に馴染むデザインです。
片流れの屋根となっているため、2階部分は1階の面積の半分強が使える広さ。この2階部分を寝室にしていますが、屋根に使われた梁などもむき出しとなっているため、秘密基地のような感覚が味わえます。
敷地面積 | 176.0平方メートル | 間取り | 2LDK |
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延べ床面積 | 76.5平方メートル | 金額 | 970万円 |